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●温泉の分類

温泉は「温度」「水素イオン濃度」「浸透圧」「緊張度」「泉質」により分類されます。
●温度による分類
冷鉱泉 低温泉 温泉 高温泉
25度未満 25度〜34度 34度〜42度 42度以上

●水素イオン濃度pH(potential of hydrogen)による分類
酸性泉 中性泉 アルカリ性泉
0.0〜2.0 2.0〜3.0 3.0〜6.0 6.0〜7.5 7.5〜8.5 8.5〜
強酸性 酸性 弱酸性 中性 弱アルカリ性 アルカリ性
酸性度が高いほど、肌荒れ、湯ただれを起こしやすい。
アルカリ度が高いほど、ツルツル・ヌルヌル感が高く美人湯系で肌にやわらかです。

●浸透圧(溶けている温泉成分濃度)による分類
低張泉 等張泉 高張泉
等張液より浸透圧が低い
1Kg中8g未満
等張液と浸透圧が同程度
1Kg中8〜10g
等張液より浸透圧が高い
1Kg中10g以上
浸透圧が人体の細胞液と同程度の液を等張液といいます。

●緊張度(人体に対する効能の刺激の強さ)による分類
緊張性 (刺激が強い) 炭酸泉、炭酸鉄泉、緑礬泉、明礬泉、硫黄泉、酸性泉、等
緩和性 (刺激が弱い) 単純泉、重炭酸土類泉、重曹泉、食塩泉、芒硝泉、石膏泉、放射能泉、等

●泉質による分類
掲示用
新泉質名
詳細
単純温泉 特徴、効能
泉温が25度以上で、温泉水1Kg中に含まれる成分が1000mg未満の温泉です。 この内、pH8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼びます。 含有成分の量が少ないので刺激が少なく、肌触りがやさしい癖のない温泉なので「名湯」と呼ばれるのも数多くあります。 単純温泉以外の泉質の分類条件に満たないだけで、含有成分が何もないわけではありませんので、含有している成分のバランスにより 各泉質に似た特色を示す場合もあります。 ほとんど無色透明、無味無臭で石鹸が良くききます。
(一般的適応症として) 神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進
新泉質名 旧泉質名
単純温泉 単純泉
アルカリ性単純温泉 単純泉
二酸化炭素泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる成分が1000mg未満で、遊離二酸化炭素を1000mg以上を含む温泉です。 入湯すると全身に炭酸の泡が付着するので、別名「泡の湯」や「ラムネの湯」と呼ばれます。 抹消血管を広げて血圧を下げる効果があるので「心臓の湯」とも呼ばれます。 日本には比較的少ない泉質で、大分県の長湯温泉が有名です。 飲用すると胃腸の動きを活性化し、便秘にも効果があります。 無色透明、微酸味、清涼味。保温効果が高い。
高血圧症、動脈硬化症、きりきず、やけど、神経痛、皮膚病、手足の冷えやしびれ、胃腸病、肝臓病、糖尿病、痛風
新泉質名 旧泉質名
単純二酸化炭素泉 炭酸泉
炭酸水素塩泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの温泉です。 陽イオンの主成分がカルシウムかマグネシウムのものは「重炭酸土類泉」に分類され、ナトリウムイオンのものは「重曹泉」に分類されます。 入湯すると独特のヌメり感があり、汚れた皮脂を洗い流し、しっとりとした肌になる美肌効果があるため「美人の湯」と呼ばれます。 浴後は皮膚呼吸が活発化し、さわやかな清涼感があるものもあります。 飲用すると便秘にも効きます。
慢性皮膚病、慢性胃腸病、アレルギー性疾患、きりきず、やけど、糖尿病、リウマチ、じんましん、肝臓病、便秘、痛風
新泉質名 旧泉質名
カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉 重炭酸土類泉
含二酸化炭素・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉 含炭酸土類泉
カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩重炭酸土類泉
カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝重炭酸土類泉
ナトリウム−炭酸水素塩泉 重曹泉
含二酸化炭素・ナトリウム−炭酸水素塩泉 含炭酸重曹泉
ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩重曹泉
ナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝重曹泉
ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉 含食塩芒硝重曹泉
ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉 含土類重曹泉
塩化物泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が塩素イオン、 陽イオンの主成分がナトリウムイオンの温泉です。 日本には多く見られる泉質で、塩分が主成分となっているので舐めると塩味がします。塩分濃度が濃い場合は苦く感じられます。 入湯すると塩分が身体に付着して汗の蒸発を抑えるため保温効果が高く、別名「熱の湯」と呼ばれます。 飲用すると、胃腸病に効果があり、うがいをするとノドの消炎効果があります。
慢性消化器病、筋肉痛、関節痛、腰痛、ノドの痛み、慢性皮膚病、慢性婦人病、虚弱児童、きりきず、やけど、胃腸病、肝臓病、便秘
新泉質名 旧泉質名
ナトリウム−塩化物泉 食塩泉
含二酸化炭素・ナトリウム−塩化物泉 含炭酸食塩泉
ナトリウム−塩化物強食塩泉 強食塩泉
ナトリウム−塩化物泉 弱食塩泉
ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉 含重曹食塩泉
ナトリウム−塩化物・硫酸塩泉 含芒硝食塩泉
ナトリウム−塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉 含芒硝重曹食塩泉
ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)−塩化物・炭酸水素塩泉 含土類食塩泉
ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉 含土類石膏食塩泉
含ヨウ素・ナトリウム−塩化物泉 含ヨウ素食塩泉
硫酸塩泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる成分が1000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンの温泉です。 陽イオンの主成分により、ナトリウム−硫酸塩泉(芒硝泉)、カルシウム−硫酸塩泉(石膏泉)、 マグネシウム−硫酸塩泉(正苦味泉)、アルミニウム−硫酸塩泉(明礬泉)などに分類されます。 芒硝泉と石膏泉は外傷や痛風に効果があるため、別名「傷の湯」や「中風の湯」と呼ばれます。 飲用すると、肝臓病、胃腸病、胆のう炎、便秘に効果があります。 正苦味泉はその効能から「脳卒中の湯」とも呼ばれます。
便秘、肝臓病、胃腸病、胆のう炎、高血圧症、動脈硬化症、神経痛、リウマチ、痛風、きりきず、やけど、痔疾、脳卒中、慢性皮膚病、慢性婦人病、虚弱児童
新泉質名 旧泉質名
硫酸塩泉 硫酸塩泉
ナトリウム−硫酸塩泉 芒硝泉
カルシウム−硫酸塩泉 石膏泉
マグネシウム−硫酸塩泉 正苦味泉
アルミニウム−硫酸塩泉 明礬泉
ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉 含食塩芒硝泉
カルシウム・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉 含食塩石膏泉
マグネシウム・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉 含食塩正苦味泉
含鉄泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる総鉄イオン(鉄Uまたは鉄V)が20mg以上の温泉です。 陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのものは「炭酸鉄泉」に分類され、硫酸イオンのものは「緑礬泉」に分類されます。 温泉が湧出して空気に触れると、鉄が酸化し次第に赤褐色や茶褐色の沈殿物が生じる特徴があります。 鉄の含有量が20mgに達していない場合は、他の泉質に分類されることもありますが、 鉄分が含まれていれば含鉄泉と同様に赤褐色や茶褐色になります。 浴用、飲用、共に貧血や更年期障害に効果があります。飲用する際は酸化する前の無色透明の湯を飲む方が良い。 緑礬泉はその効果から「眼の湯」とも呼ばれ、酸性傾向が強いため殺菌効果が高い。
慢性皮膚病、結膜炎、粘膜疾患、貧血症、月経障害、子宮発育不全、更年期障害、湿疹、神経痛、リウマチ、更年期障害、多汗症、静脈瘤
新泉質名 旧泉質名
単純鉄(U)泉(炭酸水素塩型) 単純炭酸鉄泉
含鉄・二酸化炭素・カルシウム−炭酸水素塩泉 含炭素鉄泉
カルシウム(・マグネシウム)・鉄(U)−炭酸水素塩泉 土類炭酸鉄泉
含鉄(U)・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉 土類炭酸鉄泉
カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩土類炭酸鉄泉
含鉄(U)・カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩土類炭酸鉄泉
カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝土類炭酸鉄泉
含鉄(U)・カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝土類炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩泉 重曹炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−炭酸水素塩泉 重曹炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩重曹炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉 含食塩重曹炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝重曹炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩泉 含芒硝重曹炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉 含食塩芒硝重曹炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉 含食塩芒硝重曹炭酸鉄泉
ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)・鉄(U)−炭酸水素塩泉 含土類重曹炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉 含土類重曹炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−塩化物・炭酸水素塩泉 含食塩炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−塩化物(・炭酸水素塩)泉 含食塩炭酸鉄泉
ナトリウム・鉄(U)−硫酸塩・炭酸水素塩泉 含硫酸塩炭酸鉄泉
含鉄(U)・ナトリウム−硫酸塩(・炭酸水素塩)泉 含硫酸塩炭酸鉄泉
鉄(U)−硫酸塩泉 緑礬泉
単純鉄泉(硫酸塩型) 単純緑礬泉
酸性・鉄(U)−硫酸塩泉 酸性緑礬泉
含ヒ素・鉄(U)−硫酸塩泉 含ヒ素緑礬泉
アルミニウム・鉄(U)−硫酸塩泉 含明礬緑礬泉
含鉄(U)・アルミニウム−硫酸塩泉 含明礬緑礬泉
硫黄泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる総硫黄が2mg以上の温泉です。 硫化水素を含まないものは「硫黄泉」に分類され、硫化水素を含むものは「硫化水素泉」に分類されます。 「タマゴの腐ったような臭い」と言われる独特の臭いは硫化水素ガスによるものです。 タンの切れが良くなるため、別名「タンの湯」とも呼ばれます。 血管を拡張させる効果もあるため、高血圧症に効き、別名「心臓の湯」とも呼ばれます。 温泉が湧出して空気に触れると、白から薄黄色になります。日本では比較的多い泉質で、万病に効くと言われます。 銀や銅は硫黄と化学反応を起こして変色するため、アクセサリーなど身につけたまま入浴しないよう注意が必要です。 また、換気が悪いと中毒を起こす可能性があることにも注意が必要です。
(硫黄型)慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病
(硫化水素型)高血圧症、動脈硬化症、慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病
新泉質名 旧泉質名
単純硫黄泉 硫黄泉
含硫黄・ナトリウム−塩化物泉 含食塩硫黄泉
含硫黄・ナトリウム−塩化物・炭酸水素泉 含食塩重曹硫黄泉
単純硫黄泉(硫化水素型) 単純硫化水素泉
酸性・含硫黄(・ナトリウム)−硫酸塩泉(硫化水素型) 酸性硫化水素泉
含硫黄・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩泉(硫化水素型) 土類硫化水素泉
含硫黄・カルシウム(・マグネシウム)・ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉(硫化水素型) 含食塩土類硫化水素泉
含硫黄・カルシウム(・マグネシウム)−炭酸水素塩・塩化物泉(硫化水素型) 含石膏土類硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム−炭酸水素塩泉(硫化水素型) 重曹硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム−炭酸水素塩・硫酸塩泉(硫化水素型) 含芒硝重曹硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム−塩化物泉(硫化水素型) 食塩(塩化物)硫化水素泉
含硫黄・カルシウム(・マグネシウム)−塩化物泉(硫化水素型) 塩化土類硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型) 含重曹食塩硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素塩泉(硫化水素型) 含石膏食塩硫化水素泉
含硫黄・カルシウム−硫酸塩泉(硫化水素型) 石膏硫化水素泉
含硫黄・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型) 含食塩芒硝硫化水素泉
含硫黄・カルシウム・ナトリウム−硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型) 含食塩石膏硫化水素泉
酸性泉 特徴、効能
温泉水1Kg中に含まれる水素イオンが1mg以上の温泉です。 塩酸や硫酸のような遊離鉱酸を構成し強い酸性を示します。 ほとんど無色か黄褐色で「直しの湯」、「仕上げの湯」と呼ばれます。 酸の効果で殺菌作用が高く、水虫や湿疹など慢性の皮膚病に効果があるが、 肌には刺激が強いため、湯ただれを起こす場合があります。特に子供や高齢者など肌が弱い人には不向きです。 梅毒に効果があるため、別名「カサの湯」と呼ばれます。
梅毒、水虫、湿疹、疥癬、慢性皮膚病
新泉質名 旧泉質名
単純酸性泉 酸性泉
放射能泉 特徴、効能
温泉水1Kg中にラドンを100億分の30キュリー単位以上、またはラジウム塩を1億分1mg含む温泉です。 放射能を浴びると細胞が破壊されますので、人体に悪影響を及ぼすと思われがちですが、 微量であるならば破壊された細胞を排除しようとして新陳代謝が活発化するため健康増進につながります。 また、鎮静作用があるためストレスやノイローゼにも効くとされ、血圧を下げる効果もあるため、循環器系の障害にも効果があります。 別名「痛風の湯」とも呼ばれます。
循環器障害、神経痛、ノイローゼ、健康増進、痛風、高血圧症、動脈硬化症、慢性胆嚢炎、慢性皮膚病、胆石症、糖尿病、リウマチ、慢性婦人病、更年期障害、尿路疾患、不妊症
新泉質名 旧泉質名
単純放射能泉 放射能泉(ラジウム泉)
含(弱)放射能○○泉 放射能泉

実際の温泉は様々な成分が複雑に混じり合っています。
混じり過ぎて泉質が特定できない温泉もあります。

温泉法の別表での規定値と泉質分類のための規定値が異なっていたり、そもそも泉質分類のためには判断基準とならない成分も 温泉法では規定されたりしていますので温泉法で温泉と規定されても泉質が特定できない場合もあります。
そういう場合は「臭素イオン規格該当温泉」と言うような味もそっけもない呼ばれ方になります。

温泉は源泉ごとにそれぞれの特徴を持っていますので、日本に26000本ほどある 源泉の泉質は、全て違うものと言っても過言ではありません。

大分県の別府温泉は、放射能泉以外の世界中全ての泉質が存在すると言われるほど複数の源泉があります。
このように同じ温泉地でも泉質が特定できない例は数多くあります。

それにしても、泉質名は旧泉質名の方が判りにくいけどしっくり来るなぁ。 字面だけでなんとなく泉質が想像できるし単純に語感もかっこいいしね。
「強酸性含弱放射能含炭素含沃素食塩芒硝石膏明礬重曹炭酸鉄硫化水素泉高張緊張性高温泉」 ほとんどお経ですな。